メディア空間考 松川希実
4年前、宮崎県の山間部で、衝撃的な光景を見た。
来日したばかりの中国人技能実習生2人の取材だった。人里離れた山の上の介護施設で、慣れない日本語で、体温測定や衛生管理などを勉強していた。
そして仕事が終わると、2人は脇目も振らずに自転車で山を下った。周囲に娯楽施設などは皆無。アパートに直帰すると、蒸し暑い部屋でスマホに向かって、中国語で話しかけた。「何を食べてるの?」
画面越しに中国にいる家族の生活風景が映った。家にいる間はずっと、無料のビデオ通話アプリを使い、中国とオンラインでつなげて、日本にいながら家族と「生活」を続けていた。
その時はただ驚いたが、画面…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル